夢でさえ


その愛が全部欲しい。
一部だけじゃイヤだ。

『贅沢もほどほどにしないか…』
うるさいな…どうせ叶わぬ願いなら、願うぐらいイイだろう?
叶わないけど願うぐらい…大きく願っても
罰は当たらないだろう、多分。

特別になりたい。

『君は充分特別だ』

大勢の中の一人じゃなくて、あんたの特別になりたいんだ。

『特別だと言っている』

俺の手足はいらない。

『気に入らないな…』

アルの身体が戻るならそれだけでいい。
祈りなんていらない、傍にいたい。

『傍にいる』

その笑顔の困惑部分をなくせよな…。
あぁ、そうそう……冷蔵庫の中身はお酒じゃなくて
ちゃんと食材いれようよ……。

『……まだあるのか?』

ん?まだ希望があるかって…あるよ。

夢だからいい。
思う存分言ってやる。
夢の中のあんたなんだから、ちょっとぐらい
我慢して俺のワガママ聞いてくれよ

『はいはい、分かったよ…エドワード』

えっと、女性の香水の匂いつけて帰ってくるな
根本的に女性の元に行くな
無茶をするな、無理をするな

『…それは君ではないか?』

俺は無茶も無理もしてねーよ。

『ったく、嘘つきだな、鋼の』

なんか呼び名、コロコロ変わってるんだけど
君って言ったり名前で呼んだり、鋼のって……

『あぁ、じゃあお前はどれがいい?』

お前言うなよ。

『じゃあ、チビ』

だーれーが豆粒みたいに小さいってー!!
というか夢の中なのに、もう言う事聞かなくなってやがる。

『ハハハ、おっと……すまない、時間だ』

ちょ、どこ行く気だよ。
また女性の所に行くのか?
夢ぐらい、夢の中ぐらい一緒に…

『どうしたい?鋼の…』

…名前で呼んでよ。

名前、俺の名前をっ





『エドワー……エ…リック……』




聞こえないよ、大佐…

『愛し……』

ねぇ、聞こえないって…ロイ……



夢でさえ一緒にいれないなんて…
酷いよ、ロイ・マスタング。