きっと方法はある


諦めない、そう言ったはいいものの
何をどうしたらいいのか、解決策はまだ見つかっていない。

本人に聞く訳にはいかないし、かといって
皆に聞いても“頑張れ”の一言で終わってしまうだろう。
口では、文句を言ったり笑ったりしていても
何だかんだでロイの味方なのが皆なのだ。
きっと笑いながら、エドワードの味方をもしてくれるだろうが
最終的には、ロイの思うように皆も動くから問題である。
一般的に見れば、さすがとしか言いようがなく
個人的に見れば、とてもやっかいで、敵には回したくないというところだ。
「どうすっかなぁ……」
気分転換に、中庭に出て木陰に腰を下ろした。

キスマークを付けても駄目、むしろ逆効果。
諦めないと言っても何か出来る訳でもなくて
本人に直接やめろなんて言っても無駄。
いや、そんな事を言うなんてルール違反だ。

こんな男同士の、しかも年離れの恋愛に
ルールもクソったれもないとは思うけれど
嫌なものは嫌なのだと、エドワードは俯き溜息を吐いた。


この広い世界の中で、沢山いる男性と女性。
男と女で付き合っても、長く続くのは難しいというのに
男同士で上司と部下で、あまりにも試練が多すぎではないだろうか
「でも……ヤダし……」

諦めたくない、だって好きなんだ。
俯いたまま、地面に言葉を投げかける。
決して希望がない訳ではない、相手が頑張れと言っている状況だ。
コチラが諦めなければ、もしかしたら……。
もしかしたらだ、女性とのお付き合いを全部スッパリなくして
鬱陶しいぐらい自分を見てくれるかもしれないのだ。
鬱陶しいのは嫌だけれど。
それぐらいの希望、持っていてもいいだろう。
エドワードは顔を上げて、今度は地面と逆の上を見た。
ふわふわと浮かぶ雲、飛び回る小鳥の先には、ロイに似た青い空が見えた。
「……もっと濃いよな」
今見てるのは空色で、軍服は青や紺なのだから
まったく違う色なのに、どこか似ているように見える。
多分それは、広くて全部を包み込んでくれるという点が
似ていたのだからだと思うエドワードだが。
実際のところは、エドワードの現在の頭の中が
ロイ一色で染まっているだけだったりする。


きっと、想うのは自由。
口にしなければ、何を想っていても相手に伝わる事もなく
自分の心の中だけに秘めておける。
女性と一緒に居るなんて許さないなんて口にするのは駄目。
ならば……。

「よしっ!決めた」
勢いよく声を出し、ズボンのポケットから手帳を取り出して
最後のページをビリッと破った。
ペンを取り出し、破った紙に何かを書き始める。
紙が擦れる音がしばらく流れ、書き終えてそれは止まる。
その紙を半分に折って、更に半分に折って
それを繰り返し、どんどん小さくしていった。

小さくなった紙をぎゅっと握り締め、その場を立ち上がり去る。
目指すは、まだ仕事をしているであろうロイの部屋。
廊下を走る中、遠くの方から相変わらずな銃声が聞こえた。
「馬鹿だな、アイツ」
苦笑いをしながら、エドワードはもう何度も開くあの扉に向かう。

ノックはしない、声もかけない。
それでも扉は開いてくれるのだ、鍵がかかっている事は少ない。

エドワードは、それすら希望に思えた。
開く扉は、頑張れと言った本人の心にも見えたのだ。