アイツの態度はゆとりからなのか


遊びというのは、普通に遊ぶという意味と
ゆとりを持つという意味がある。

果たして、俺にゆとりなんてあるのだろうか?

子供は遊んで勉強する事が仕事と言うけれど
俺はゆとりを持つ事なんて、許されないと思うわけだ。



進む足は重い……。
これは決して片足が機械鎧だからだという理由ではない。
傍にアルフォンスが居ないという理由が1つ。
原因は、師匠に見事に捕まった事にある。
捕まったのはエドワードもアルフォンスも共にだが
どうやら、2人揃って捕らえておくのは無理だと判断したらしい。
1人を餌食に、1人は仕方なく逃すという形だ。
こうなってくると、図体がでかいアルフォンスよりも
小さいエドワードの方が逃げやすいというモノ。

「小…さ………どぁああーー!!」

自分で自分の事を小さいと思い
道の真ん中で頭を抱え叫びだす。
町の人達は、何事かとちらっとエドワードを見たが
その視線はすぐに1発の銃声と共に外される事となった。


バッと銃声のした方を見ると、そこは目的地であった司令部がある。
「大佐…何やってんだよ……」
ふっと頭を過ぎったのは、あの偉そうな軍人だ。
ここ一帯を管轄区域とする人なのだから、思い浮かべるのも
当たり前と言えば当たり前なのだろうが……。
「気に入らねぇ…」
まだ他にもホークアイやハボック達が居るのにもかかわらず
思い出すのがアイツだというのが
エドワードは気に入らないらしい。

目的地に向かって少し小走りに進み出す。
普通、子供だと入れてもらえないこの場所だが
エドワードはさらりと兵士の横を通り過ぎた。
国家錬金術師であるエドワードは出入りが自由で
もう何回も何回も弟と一緒に来た場所だ。
弟の鎧姿は目立つし、例えいないこの状況でも
金髪金目、赤いコートは何度も行き来している入口なので
兵士は何も言う事もなく、敬礼をして通してくれる。
顔パスとはまさにこの事だと
ここに来るようになってから思えるようになった。

いつもなら廊下などですれ違う人達がいない。
先ほどの銃声の元に集まっているのだろうか…
エドワードの進むペースはどんどんと速くなり
廊下をドタバタと走り出した。
何かあったのか?取り返しのつかない事じゃないよな?
もう帰る家がないエドワードにとって
ここは、帰る場所で……ここに居る人達は
帰りを待っていてくれる人なのだ…。

家族と同じ。

ぐっと手を握り締め、いつも開ける扉の前に立ち
いつもの通りノックをせずにバンッと開けた。

窓から光が射し込み、一瞬目が眩む。
エドワードが扉を開いた事で、風の通り道ができたのか
強風に近い風が、ぐっとエドワードを扉の外へ押そうとした。
飛ばされるほどの事ではないが、窓からの光と
自分に向かって吹いてくる風に、何が起こったのか
そして、部屋の中で何が起こっているのか
今現在、分からない状態になっていた。

「鋼の……ノックぐらいちゃんとしたらどうだね」

部屋の奥から、アイツ…ロイ・マスタングの声が聞こえてきた。
なんだ…銃声が聞こえたから、何か起こっていると思ったが
ロイが言葉を放てる余裕があるならば
きっと何も起こっていないだろう…。
ホッと気を抜いたエドワードは、ゆっくりと部屋を見回した。
視線に入ってきたのは、銃を構えたホークアイとハボック。
そして、その銃口の先には見知らぬ男性が一人。
その男性も銃を持っており…その銃口は
余裕綽々たる面持ちで、エドワードにノックをしなさい
そう言葉にしたロイに向いていた。

「なっ!」

声に出たのはたった一言。
言葉には、もちろんなっていなかった。