潰れた予定
執務室に通されたので、仔猫を抱えたまま ロイが仕事をしてる様子を見ながら、終わるのを待つ事にした。 サインをする音が聞こえて、仔猫の鳴き声と重なる。 ロイは早く終わらせる気なのか いつもの倍以上の速さで、読み、サインをして書類の山を削っている。 本を読もうと思ったが、今読み始めたら 多分、ロイの仕事が終わっても読み続けてしまうだろう そう思って、エドワードはソファーに座ったまま 仔猫の喉をゴロゴロと撫でていた。 カチカチと時計の針の音が聞こえてくる。 「よしっ」 ロイがガタンと音を立て、立ち上がった。 仕事が終わったのだろう、ゆっくりとエドワードの傍まで来て 声をかけようとした時だった。 コンコンっとノックの音。 振り返ると、ホークアイが立っていた。 ロイが仕事が終わっただの話をしていたら ホークアイが、急遽会議の予定がなんて言っている。 エドワードは、その様子をぼーっと見つめていた。 よくある話。 特に、軍部階級が上であればあるほど 突然会議が入るとか、書類を片付けろとか 己より上の階級からの嫌がらせなんて、いつもの事で……。 そんな事を思っていたエドワードに ロイからそっと声がかかった。 「食事なんだがね……」 「あーもういいって、さっさと行けよ」 さっさと会議に行ってしまえと手を振る。 振られた手を見て、ロイは少しだけ表情を歪めた。 エドワードに声をかけようとして口を開けたトコロで 仔猫の鳴き声と、ホークアイがいる方向から 銃のセイフティーが外される音がした。 「ホークアイ中尉……その音は」 「何か問題でも?」 「いや……」 思わず両手を挙げたロイを見て、クスクス笑いながら もう一度、さっさと行けと手を振った。 仔猫も応援してくれてる事だし さっさと行けばいいのに……。 文句があるように思えて、でも結局は迎えに来てくれた ちょっと可哀想だなと思うが 仕事なのだからしょうがない。 諦めてもらう事にする。 エドワードは小さく笑いながら、ロイが去るのを見つめていた。 扉が閉まる前に、ロイが立ち止まる。 振り向いて、エドワードに一声かけた。 「30分、待っていなさい……すぐ戻る」 その言葉が放たれた後、バタンと扉が閉まった。 「……ねぇ、中尉……戻ってこれるの?」 言い切った本人がいない今、問えるのは 部下のホークアイしかない。 エドワードは、おそるおそる聞いてみた。 ホークアイの表情は苦笑気味で、構えていた銃をそっと仕舞っていた。 「さぁ、エドワード君への愛情が試される時じゃないかしら」 さらりと放たれた言葉に、エドワードが固まる。 何を言っているんだ、と思いながらも 多分、30分以内に戻ってきてしまうのだろうなと どこかで思っている自分もいた。 「愛情ねぇ……」 「あら、疑うのはよくないわエドワード君 大佐は、何が何でもエドワード君と食事に行きたいのよ」 ニッコリ微笑んだホークアイを見て しょうがないヤツだよな、とエドワードも小さく微笑んだ。 |