厄介な荷物
手に持っていた傘が、道へと投げられた。 まさかのまさかで、こういう時に限って 嫌な予感というモノは当たる。 傘がなければ濡れるという問題を通り越して エドワードは、水の中…必死に仔猫を抱いて 流されないように頑張っていた。 「君は……濡れるのが好きなのか?」 慌てて駆け寄ったまではよかったが 助けるという行動をする気持ちの前に 呆れる気持ちが上回ったロイは、エドワードに 聞こえるように呟いた。 「あ?ふざけんなッ、これのどこが」 降れ降れ坊主を作ったのは俺だけど でも、やっぱりコレは全部全部大佐の所為だ 「どこがと言われてもね、ここは普通なら足が届くと……」 「雨で増水してんのが、分からねーのかクソ大佐ッ」 大佐の所為というよりは…なんかもう存在自体が 不幸を連れて来る奴に見えてきたぞ……。 普通は助けるだろ? 普通は…… 「クソとは言葉遣いが悪いぞ…鋼の」 「普通じゃないてめーに、言葉遣いもクソもあるかッ」 あー、もうどうでもいいから助けやがれ なんだ?大人しくしていなかった事に対しての 嫌がらせか? 少し話をしている間にも、川の増水は続き そろそろ、本格的にまずい状況へと変化しそうになった時。 ロイは小さく溜息を吐きながら、片膝を地面につけてしゃがみ込み エドワードの腕をガシッとしっかり掴んだ。 「厄介な荷物を持ってるな……」 掴んだまではよかったが、エドワードの片手は仔猫で塞がれ 仔猫に集中しているために、片腕も力が思うように入らない。 ロイの腕を掴み返す事もできずにいると ぐいっと引っ張られる感覚が身体をめぐった。 「濡れるのが好きでも、ほどほどにしなさい」 先ほどからかっていた様子とは一転して ロイは真剣な顔をして、エドワードを片手で川から持ち上げた。 まさか、片手で持ち上げられるとは思ってもおらず エドワードは、目を丸くした。 「…大佐?」 「なんだ…私が持ち上げれないとでも思っていたか?」 ロイは呆れるような表情で言葉を放ち。 エドワードは、まったくその通りだと心の中で思っていた。 ただでさえ、機械鎧を右腕に左足に付けているのに 今は、服が水を吸って更に重くなっている体。 ロイの腕を掴み返せれない状態で、そう簡単に持ち上げられるなんて 「馬鹿力……」 「……口だけは達者だな」 ロイがボソリと呟いたエドワードを、道の上に立たせたトコロで エドワードの腕の中に居た厄介な荷物が 小さく、にゃあと鳴いた。 |