傘隠れ
しばらく歩いていると、もう服はびしょ濡れ。 ポタポタと髪から雫が落ちて あぁ、動きにくいなんて思いながら 屋根のある、雨宿りができそうな所を探す。 川が流れる場所のすぐ傍にようやく見つけて 水溜りの中を駆け出す。 こんな時に考える事は、濡れてしまったとか そういう事ではなくて……。 司令部から、結構離れてしまったな…なんて事。 「だぁあああーーだから、何考えてるだ俺!!」 先ほど、ムカツクと思ったばかりなのに 少し時間が空くと、考えるのはアイツの事で。 そんな自分に腹が立って仕方ない。 けれど、結局は考えてしまう自分がいる。 どうしようもないな…俺は。 小さく溜息を吐きながら、エドワードはぼーっと空を見上げ 止みそうにない雨の音を聞いていると 目の前の川から、どこかで聞いたような鳴き声が聞こえてきた。 これは、よくアルフォンスの鎧の中から 聞こえてくる鳴き声……。 いつも捨てて来いなんて言ってる動物の…… 「マジかよ……」 空を見上げても、雨は止む様子はないし その所為で川はゆっくりと増水していっている。 で、聞こえてくる鳴き声は…その増水中の川の中からだ。 飼う資格がない、だから捨てて来い。 そう言ってはいるものの、いくら何でも 川の中にいるのは問題ではないか? 色々考えようとはしたが、こういう時…エドワードは 考えるよりも身体が先に動くモノで……。 折角、雨宿りしたのにな…… なんて、この場面で普通は考えないような事を考え 屋根から出て、目の前の川まで向かい覗き込んだ。 最初に見えたのは、折れてボロボロになった傘。 よく見れば、泥だらけになった小さな仔猫が 傘にかろうじて引っ掛かり、鳴き続けている。 練成をして助けようとしたが、思った以上に 増水の影響が川にきているらしい…… 目の前で、仔猫が流された。 なんて尽いていない日だ。 「くそっ」 とりあえず、全部大佐の所為にしておいてオーケー? イヤ、降れ降れ坊主を作ったのは俺だっけ…。 余計な事を考えながら エドワードは、迷わず…冷たい川の中へと飛び込んだ。 |