帰ろう
状態は良くない。 銃声は鳴り止まない、ロイは脚を撃たれて動けない。 最悪の状況と言ってもいい。 ロイはエドワードを抱きしめた状態で、洞窟の様子を見た。 生きる洞窟、ココは天井が全て宝石で出来ていた場所だ。 宝石でしっかりしていた天井も、人の手によって どこかを崩してしまえば、全て崩れそうなほどに 脆いモノへと変わっていた。 出口はすぐだが、動けないという状況が変わらない今 この銃声をどうにかするしか手はない。 抱きしめる力を少し強めて、ぎゅっとしたまま ロイは、洞窟の一番脆い場所を探した。 見つけて思うのだ、これは賭けだと。 いくら出口が近くと言っても、距離はある。 しかもロイが撃たれているのは脚で、動けても凄く遅い。 そんな中で、一番脆い場所を撃って崩れを求めた時。 例え、町の人の頭上に崩れを起こして助かったとしても その崩れが、そこで止まってくれるとは限らない。 「エドワード……」 「ロイ………シチュー、食べたいよ」 声をかけようとして、エドワードに先を越された。 しかも、この雰囲気にそぐわない言葉。 ロイはエドワードの顔をまじまじと見た。 エドワードは、ロイの腕の中でくるりと体を反転させて ロイを見ながら、小さな声で言葉を放つ。 「手、洗うから……水道水、嫌…でも、洗う」 だから、帰ろう。 「嫌なら洗わなくてもいい、その代わりちゃんと手を拭きなさい それから……今度は、エドワードが作る番だ」 エドワードの言葉に、小さく微笑んだロイは そう言葉をかけて、拳銃のトリガーをひいた。 その銃弾の行方を見て、町の人は笑っていた。 どこを狙っているのだと、笑いながら ロイの方に銃口を向け、銃弾は放たれた。 すぐに隠れたが、銃弾は早くロイの肩を掠めた。 肩を掠めた様子を見て、声にならない声を上げたのは エドワードだった。 でもその声も、ロイがトリガーをひいた事によって起きた出来事で 全てかき消されてしまった。 洞窟の崩壊。 崩れは、町の人を飲み込み。 ロイとエドワードすらも飲み込んだ。 静かになった時には、出口は残されていない状況へと変化していたのだ。 唯一の救いは生きている事。 でも、それも……もう………。 |