キミが好きだから
夜風がカーテンをゆらゆらと揺らした。 寒さにブルブルと毛布の中で震えるエドワードを見て ロイは音を立てないように、窓をそっと閉める。 「明日……この街を出ようか」 毛布に包まるエドワードに、ロイはそっと声をかけた。 ビクンとエドワードの体が揺れる。 「俺、悪い……外に…出た」 毛布の中から、こもった声が聞こえてくる。 エドワードの言葉は、やはり片言で必死に言葉を繋げている。 その言葉を聞いて、ロイは小さな笑みを浮かべ 毛布の上から、エドワードの体をそっと撫でた。 「悪くない、街から出たいのはキミの病気を治す為だ、エドワード」 「病気…?」 どこも悪くない、健康だと呟いたエドワードの頭を ロイはポンポンとしながら、動いた事で ずれてしまった毛布を元に戻した。 「キミは何だい?エドワード」 そっと立ち上がり、毛布の中にいるエドワードに声をかけた。 「何って……鋼玉」 ロイが立ち上がったので、何を言い出すかと思えば 分かりきった事を、言うのだと。 ロイに言われる事で、改めて自分が他の人間と違うという事を 実感せざるおえなくなった。 悲しくなって、毛布をぐっと掴み頭まですっぽり被る。 「違うよ…エドワード、キミは人間で…… ただ、この地方特有の病気にかかってるんだ」 エドワードに声をかけながら、町で会った少年の言葉を思い出す。 『鋼玉は、治るよ…病気だから』 「病気?」 ロイの言葉に、エドワードは反応を始める。 毛布をバッと吹き飛ばし起き上がった。 『病気なんだよ、お兄さん』 「病気なんだ、この地方で稀にかかる…体がだんだんと石化していく」 エドワードはロイをじっと見つめ、声を出す事はない。 「もっと医療技術が発達した所に行けば……キミは治るんだ」 エドワード 「なんで、そんなこと……言える?」 少しだけ静かな時間が流れて、エドワードがぼそりと呟いた。 エドワードの瞳は潤んで、今にも雫が零れ落ちそうになっていた。 「だって、ロイは…鋼玉じゃない、言える やっぱり、違う、俺……」 泣きたくないのに、溢れて出てくるのは 自分が、人間と違うと自分自身分かっているからだろうか ロイが、いつも心配して怒ってくれるはずなのに 今回だけ、怒らずに街を出ようと言ったからだろうか 「言えるのは」 ロイの腕がそっと、エドワードの方に伸びてくる。 大きな手のひらが、頬に触れた。 「キミが好きだからだよ」 病気を治して、ずっと傍に居たいから。 低い声が、エドワードの心に響いた。 |