すぐ傍に


「どうしよう……」
ポカポカと陽気のいい日に、エドワードは家の裏側
影に隠れて息を潜めていた。
街の人達が、鋼玉を捜し始めて数日が経った頃。
捜す範囲が徐々に広がり、捜し始める人の人数も増えていた。
そこで困った事に、この家の付近を数名がウロウロし始めたのだ。
家の中に居れば、居留守という形を使えたが
残念ながらエドワードは外に居る。
家に入るには、正面だろうと裏口だろうと
扉を開けなければならない。
まだ近くをウロウロしている為、音を立てる訳にもいかず。
助けてくれそうなロイは、現在街に買い物に出掛けていた。
「ロイ……」
小さな声で助けを求めてみるが、やはり傍には居ない。

『絶対に、外には出ない事…いいね』

そう言って出掛けて行ったロイを、少し恨んでみる。
が、恨んでみても何を思っても状況が変わるという事はない。


街に買い物に来ていたロイは、ふと立ち止まり
家に残してきたエドワードの様子を考えてみた。
「きっと、外に出てるな……」
空を見上げて、ふぅと溜息を吐く。
喋る言葉は片言でも、行動はハキハキ動く子供だ。
出るなと言われて、あの子が素直に家の中に篭っている訳がない。
面倒な事になっていなければいいが……。
溜息は次々と外に出され、持っていた買い物袋が急に重く感じた。
歩いて向かう先は、街から少し外れた自分の家だ。
距離は近いとは言えない。
エドワードの様子が、少し心配になってきたロイは
歩幅を大きくあけ、早歩きで前に進む。

「お兄さん……鋼玉と一緒にいる……」

もう少しで街を出るという時に、ロイを呼び止める声が聞こえた。
「……キミは?」
エドワードとは少し違った蜂蜜色の髪の少年が
ロイをじっと見つめながら、道の真ん中に立っていた。






走って、躓いて転んだ。
膝を少し擦り剥いたけれど、痛いなんて思う暇もなくて
すぐに立ち上がって、扉を開けて家の中に入って鍵をかけた。
ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。
リビングを抜けて、寝室に入りそこの扉にも鍵をかけた。
ベッドにダイビングする。
ぎしぎしとバネが音を上げる。
毛布を頭から被り、丸まりながら耳を塞いだ。
まだ、ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。
「ロイ…ロイ、ロイ」
毛布の中で、繰り返す名前。
ずっとずっと繰り返し声を出していると、返ってくる声が聞こえた。
「どうした…毛布なんか被って」
「ロイ…?」
ガバッと顔を上げ、毛布が床に落ちた。
見ると、部屋の扉の前にロイが居る。
エドワードの方に歩いてきて、手に持っていた買い物袋を
ベッドの上に投げる。
軽く弾んだ荷物を、エドワードはチラリと見てすぐにロイに視線を移した。
「……外に出るなと言ったんだが」
「ご、ゴメンナサイ」
ロイの一言、一言が怖くて、その場で縮こまる。
しかし、次に声が聞こえてくる事はなかった。
どうしたのかと顔を上げると、扉の前にロイの姿が見えない。
代わりに、エドワードをぎゅっと抱きしめてるロイの姿が

すぐ傍に……。