洗濯日和


洗濯日和、この日はそう呼ぶに相応しいほどの
天気、快晴に、頬を撫でるそよ風が吹いていた。

深緑の屋根には、小さな小鳥たちが
休息にと、足を休め、チュンチュンと会話をしている。

風は、開いている窓に入り込み、ベッドで寝ていた
男の子の、さらさらとした蜂蜜色の髪を小さく揺らしていた。


「起きなさい、エドワード…もうお昼だ」
少し低い声が小さな部屋に響き、バッと毛布を奪われた。
毛布を奪ったロイは、それでもまだベッドの上で
丸まっているエドワードに視線を移し、呆れたように溜息を漏らす。
肩をポンポンと叩くが、寝返りをうっただけで起きる様子は見られない
今度は、揺らしてみるがそれでもやはり起きようとはしていない
こんな日に、部屋に篭って寝ているなど勿体無いとは思うのだが
エドワードから言わせると、こういう日だからこそ
ふかふかのベッドの上で、1日を過ごすのだと言う。
「……シチューが冷める、起きなさい」
「…シ……チュー……」
もう一度声をかけると、シチューという言葉に反応し
エドワードはゆっくりと目を開けた。
それを見たロイは、小さく笑いながら部屋を出て行く。
バタンという扉の閉まる音と共に、覚醒したエドワードは
むくっと起き上がり、奪われ床に落ちていた毛布を拾い上げる。
「シチュー……冷めるッ!」
拾い上げすぐに、シチューの事を思い出し
毛布をベッドの上に投げて、慌てて扉を開ける。
リビングに続く廊下をバタバタと足音を立てて走り
辿り着いた時には、もうテーブルの上に昼食がのっていて
「エドワードッ!手を洗いなさい手を」
手を伸ばそうとして、ロイのお叱りが耳に入ってきた。
「やだ…手、洗いたくない」
「…何故?」
「水道水、嫌い……」
片言で話すエドワードは、首をぶんぶんと横に振り
キッチンに立つロイの方をじーっと見つめた。
数秒の沈黙が続く、先に折れたのは
「濡れタオルで手を拭いてから、食べなさい」
ロイの方であった。
「うん、食べる」


食事を終えて、少し時間が経った頃だった。
外から騒がしい声が聞こえてくる。
エドワードは、フォークを片手に持ったまま
机に顔を伏せて小さな鼾を立てていた。
この小さな天使を起こしてしまうのは酷い事だと思わないか?
そう思いながら、ロイは外から扉が叩かれる前に
そっと扉を開けた。
「何か、ありましたか?」
外に居た数名の人間は、扉を叩こうとしていた時にタイミングよく開き
目を見開き驚いている。
叩こうとしていた1名の手は、叩く目標物が開いてしまった為
行き場をなくして、空中で固まっていた。
「鋼玉が逃げ出したんだ……知らないか?」
「鋼玉?」
逃げ出すという事は、動けるモノ。
ロイは、何も知らぬ顔で何の事だと聞き返した。
相手は馬鹿なのか、それとも知られても大丈夫だからなのか
すぐに返事を返してくれる。
「アンタ…この辺に住んでるのに、鋼玉も知らないのか?」