その他大勢の中の俺


「愛してる…鋼の……」

そう囁かれたのは何度目だろうか…。
もう、数え飽きた。
嬉しさは半減して更に半減して、半減してもう何もない。
悲しさだけが増してくる。

だって、他の女性にも囁いてる単語だ。

この前は、金髪の女性に会っていた。
同じ言葉を囁いて、俺の横を簡単に通り過ぎた。

「馬鹿みたいだ……」
「何がだい?」

その前は、黒い服を着た女性とだ。
同じく、同じ言葉を囁いて……俺と同じ方向に歩き出すんだ。

ごそごそとベッドの上で動き、エドワードは小さな欠伸をした。
その様子を見て、クスクス笑いながらロイは、エドワードを後ろからギュッと抱きしめる。

「俺が…馬鹿みたいなんだよ」

その前の前は、金の瞳の女性だったかな。
私と彼のデートの邪魔しないでというような目で睨まれた時は、俺だってどうしようかと思ったさ。

「エド…」

あぁ…俺が馬鹿みたいだよ本当に。

どんなに俺の名前を囁いても。
どんなに愛してるという言葉を言っても。

所詮、俺はその他大勢の中の俺なんだ。

分かってる。

分かってるけど……。

「愛してるよ…エドワード」



ダメだ、逃げられない。