悪口
「つーかさぁ〜、野良犬って何さ」 「アハハ、犬っころだろ?」 氷帝学園のテニス部の部室にて、新1年生の声が聞こえてくる。 この学園に通う者は、どうもプライドが高く・・・ 生意気な発言をすれば、こうやって次の日には悪口を言われるのが 日常茶飯事なのだが・・・。 ・・・今回、悪口を言うその相手がとても悪い。 「なんや知らへんで?・・・殺されかけても」 その1年生達に声を掛ける、忍足はニヤリと笑みをこぼしていた。 「殺っ・・そ、それはないでしょう忍足先輩」 「知らへんよ?・・・監督でさえ、困り果てるやっかいな犬やから」 言葉を残して、練習に戻った忍足を見つめ・・・ 1年生達はその場で表情を固めていた。 しばらくして・・・忍足が言った通りの現象が・・・。 テニス部全員の前で起こった。 「・・・レギュラーとしてやってみる気は・・・」 「うるせーよ、43が・・・」 スタスタと、テニスコート内に入ってきたのは、榊と。 「鳳の代わりに・・・」 「長太郎をレギュラーから降ろしたら、理央が切れる」 の存在を知っている者はさほど驚きはしなかったものの 「宍戸を・・」 「それは俺が切れる」 の存在を、この前の体育館の挨拶だけで知った者達は 「向日の代わりはどうだろう・・・」 「あーー・・・ダメ、岳人の声が好きだから降ろしたら許さん」 監督の必死に頼み込む姿と・・・ 「忍・・・」 「忍足と跡部を降ろしたら、てめーは監督として失格だ!」 その監督の言葉に、片っ端から反論し意見するの姿を見て 「樺地、ジローは・・このクソむかつく部活には安らぎとして必要ありッ!」 「ッ・・・どうしてもレギュラーにはなりたくないと・・・」 「つーか、俺はマネージャーだ・・・それさえもわからなくなったか43・・・」 驚きを隠せず、口をポカンと開けたまま・・・達を見つめていた。 「ねーねー、ちゃん・・・はいっ、やろう」 そんな中、ニコニコしながら近づいてにラケットを渡してきたのは この部活の中で、にとって唯一の癒しとも言えるジローであった。 「はいじゃねーよ、ジロー・・・」 だが、は渡されたラケットをすぐに後ろの方に投げた。 「うわっぁーッ・・!」 投げてからすぐ、後ろの方に居た1年生達数名が悲鳴をあげた。 が投げたラケットは、くるくる回転しながら後ろに居た1年めがけて飛んでいったのだ しかも、その1年とは・・・先程、の悪口を言っていた者達。 「んー・・・ブラックちゃんの時は怖いなぁ〜」 「誰がブラックだ、誰が・・・」 そんなことはお構いなしに、ジローとの会話は進んでいく。 「だって、ホワイトの時はあんなに優しいのに・・・」 ガシャンッ・・・と、ジローの声が聞こえた瞬間・・・後ろで大きな音がした。 テニスボールが入っている網籠が、1年生に向かって倒れた音であった。 「・・・何やってんだ・・・岳人・・・」 「あ・・・イヤ、がホワイトの時って想像つかねーなぁ〜って・・・」 と岳人は、そんな会話をしながらも、散らかったボールを片づけ始めた。 青学では素、氷帝では冷血・・・それが普通の生徒の言葉 青学ではホワイト、氷帝ではブラック・・・それが氷帝テニス部レギュラーの言葉 ジローが最初に言い出したその言葉は・・・ この学園では、既に決められているようなことであった。 そんなこんなで、今日も1日が過ぎるわけだが・・・。 ラケットは飛んでくる、網籠とボールが倒れてくる・・・ 挙げ句の果てには、にポロシャツを掴まれ『死ね』と、もの凄い笑顔で言われる・・・ 1年生達は、今日1日・・・とても大変な思いをしたそうだ・・・。 それが、野良犬の悪口を言った所為だとは・・・ だれも気づきはしないのだが・・・。 |