最後の応援



越前が試合を始めたその時・・・。

『よそ見してていーの?』

青学の皆の中でざわめきが起こっていた。
「どういうことだ・・・
「どうもこうも、見た通り・・・」
手塚に、一言言いながら出した1枚の封筒。
それを見て、誰もが愕然としてしまった。
信じられないと大声をあげる者もいた。

『また出たぁぁツイストサーブ!!』

その封筒には、こう書いてあったのだ
【退部届け】と・・・。
「テニス部をやめる」
「・・・寝言は寝て言え・・・」
手塚はその封筒を受け取ろうとはしない。
受け取りたくないのだ・・・

『まだまだだね』

「もうお前らについて行くのが疲れたんだよ」
「なっ!」
青学を応援しに来ていた女子の中には、泣き始めた者もいた
その様子を遠目で見ていた氷帝の皆はニヤリと笑い出す。

『お前にとっての下克上はここには無いんだよ』

「なんや?ようやく始めたんか?」
こうなることが初めからわかっていた氷帝の者達

『ねえ・・・下克上ってさあ』

「やっとちゃんに抱きつける〜うれCー!」
青学の皆が、が退部することで悲しんでいる中で
さんが来ると、また大変になりますね・・宍戸さん」
「あぁ・・」
氷帝の皆は、苦笑いする者から喜ぶ者までいた
「でも・・・毎回、の言葉を聞くのは勘弁だぜ?」

『下位の者が上位の者の地位や権力をおかす事じゃなかったっけ?』

青学とは違い・・・
は、俺達のモノだ・・帰ってきて当然だろ、アーン?」
悲しむ者は1人もいない。

『チビ助・・・まだ10ゲームはいける!』

『フーン俺20ゲームはいけるけど』

・・・死ぬ気で応援・・」
誰もが信じられないとを見つめる中で・・・
竜崎先生が、苦笑いしながらもに一言言った。
最後だから・・・
は、青学にとって・・・とても意味ある存在だった。
その辺に居るただの生徒じゃなかった。
誰もが信頼し、誰もがを頼り支えやってきた・・・。
が試合を見てくれる・・・それだけでも、応援の意味はあった。
だから、竜崎先生は何も言わなかった。
1番深く関わってきたテニス部の皆1人1人に、言葉を残している時も
こうなることが前々から知っていたから・・・
きっと、の言葉はこれが最後だと思ったから・・・
竜崎先生は何も言わなかった。
けど・・・最後なのだ・・・。
手塚は、きっと退部届けを受け取らない。

でも、もう遅い

受け取らなくても、退部しなければいけない状況ができてしまった。
それを決めてしまったのは自身。
どういう状況なのかは、青学の誰もわからない・・・。
でも、もう遅いと竜崎先生はわかっていた・・・。
だから、最後に一言言葉を言った。

『あと100ゲームやる?』

は思い出す。
『そのつもりです、しんみりは俺には似合いませんし?』
「・・・そうですね・・・俺にしんみりは似合いません」
「頼んだよ・・・最後の応援・・」
「一言で済みますよ・・・」

この時、青学の誰もが見てしまった・・・。
試合をしていた越前ですら、見えてしまったのだ
が、今日初めて顔を上げ・・・

悲しそうな表情で、無理に笑顔を作っていたのを・・・

「越前・・・負けたら、カボチャコロッケ一生分!」



ゲームセット!!
ウォンバイ、越前、ゲームカウント6−4