怒らない
「?」 ずっと下を向いて歩くを不思議に思った河村が口を開いた。 『なんだっあのサーブは!?』 「なぁ、俺ってどういう奴?」 その河村の言葉に反応するかのように、の口から放たれた言葉。 『その打球消えるよ』 「え?」 『消えた?』 いきなりのことで、驚きを隠せない河村。 歩む足は止めずに、ゆっくりと病院に向かう4人・・・。 後ろの方では、樺地と竜崎先生が河村との様子を見ていた。 「んー何て言うんだろう・・・とりあえず、第一印象は『カボチャコロッケ』?」 『マジマジすっげーっ、今の見た?』 「あとは?」 「何かと無茶言いながらも、やっぱり心配してくれる優しい奴とか?」 に言われて、言い返す言葉。 「あとは?」 「んー・・・どういう奴って言われても・・・やっぱり一言で言うと」 【野良犬】 『マジっ足元に・・・・・・!?』 「野良犬以外のそれが・・・」 河村と会話をしているのに、やはり顔は下を向いたまま・・・。 表情を見せない。 「ん?何・・・?」 「全部嘘だったらどうする?」 『ボレーなら誰にも負けねぇ』 「し・・・信じられないって・・・」 の言葉にしばらく固まっていたが、すぐに言葉を放つ。 信じられない・・・と・・・。 当たり前と言えば、当たり前。 今までの3年間・・・を見続けてきて、テニス部3年は誰だって知ってる。 は、カボチャコロッケのためなら本気で何でも動く人。 そりゃ、人殺しとか犯罪はしないだろうけど・・・。 それでも、結構カボチャコロッケにつられ生徒や教師に いろいろ仕事やパシリをしていたのをよく見かけた。 イヤじゃないの?と聞いて返ってくる言葉は『カボチャコロッケ命だから』 『不二の実力はこの程度ではない』 テニスの試合の時によく言葉にするのは・・・。 『俺のカボチャコロッケのために勝て!』・・・聞けば無茶だって思う。 でも、最後はタオルや飲み物を出して・・・ちゃんと声をかけてくれて 試合で怪我するぐらい無茶すれば本気で怒るし・・・ 頑張ってやれば微笑んでくれる・・・そんな優しい所がある。 これが嘘と言われたら、今・・・の何を信じればいいのだろう。 『白鯨・・・』 そんなことを思っているうちに、4人は病院前まで辿り着いた。 『さあ、もう一球いこうか・・・風の止まないうちに』 「河村隆・・・無茶すんなよ?」 フルネームで呼ばれ、今まで言われたことのない言葉を言われた。 「え・・あっうん・・・」 いつもなら、怒ってる・・・『テニスできなくなるんだぞ』って おかしいと思いながらも、病院の中へ入っていった。 いつもなら・・・怒ってるんだ。 死ぬがいいか、カボチャコロッケを俺に奢るがいいか・・・ どっちがいい?とか言いながら目は笑ってなくて怒る。 いつも怖がりながらもカボチャコロッケを奢っていた記憶があるのに 何故か、今日だけ・・・怒らなかった。 『うん、いるよ』 試合会場に早々と戻ってきたは、大石を呼び出した。 最初は越前を呼ぼうと思ったが・・・手塚と跡部の試合を 傍で見せたい・・・そう思ったらしい・・・。 「何だい?呼び出して・・・」 呼び出すと言っても、応援席のすぐ近くで・・・ 青学の誰もが声が聞こえる範囲だ。 もちろん、声が聞けても・・・表情は見えることはなかった。 |