信じられない事実



「こっちを向いて、話してくださいよ!先輩!!」

『ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ』

氷帝戦・・・最初の試合は、青学の勝利と終わった。
そして・・・第2試合目が始まり・・・
に呼ばれた桃城が、試合が始まると同時に叫んだ。
『一・・・球・・・入・・・魂!!』
「何で・・・話す相手の方を見ないんスか?」
「なぁ・・・桃城」
桃城が放つ言葉を一切無視して、は喋り続けた。

「先の未来に何を見る?」

『スカッドサーブ!!』
「何か・・・今日変ッスよ?・・・先輩・・・」

表情が見えない。
ただそこにいて、ちゃんと声は聞けるのに・・・
顔が見えない。
あの野良犬の瞳が、あのいつも笑顔でいたあの顔が・・・
ただ、それだけなのに、不安になるのは桃城だけじゃない
青学の誰もが不安になっている。
『奴等をだまらせるぜ』
「見るなら、ライバルと一緒に見た方が楽しいぞ?」
「・・・先輩、こっち・・・向いてくださいよ」
あの時・・・氷帝の跡部と話をしていた時・・・
野良犬の瞳は、獲物を狙う豹の瞳に変わっていた。
今もそうなっているのかと・・・不安になる。
『ブーメランスネイク!!』

「いつもならカボチャコロッケって叫んでるじゃないですか!」

の後ろで、桃城が叫ぶ。
試合に集中する者と、と桃城に集中する者と現れ
背中しか見えない桃城がハッキリわかるように
はため息をついた・・・。
「はぁ・・・カボチャコロッケ?」
「そうですよ!いつもなら・・・」
−−カボチャコロッケのために勝て!!−−
そう叫んで、青学の応援をしているはずなのに・・・。
『奴等には油断なんか微塵もない』
桃城は必死だった・・・。
テニス部に入って今年で2年目・・・ずっとマネをやっていた
いつも元気で、みんなを不安にさせることがなかったが・・・

今日に限って、不安にさせるなんて・・・。

そう思って、理由を聞き出すのに必死だった・・・
こっちを向かせて、表情を見て話をしたかった・・・
なのに・・・なのに・・・は、信じられない言葉を放ったのだ

「カボチャコロッケ・・・くだらんな・・・」

「・・・・・・嘘・・・だ・・・」

青学で言われてきた言葉はこれだった・・・。
は、カボチャコロッケ命』
カボチャコロッケのためなら本気で命も捨てると言われてきた
だから、この言葉が・・・本当に信じられなかった。
『データ取れたんスか』
『ああバッチリな、ご苦労さん』


「桃城武・・・先の未来は、ライバルと見るモノだぞ?」


フルネームで呼ばれ、今まで言われたことのない言葉を言われた。
桃城は、信じたくなかった・・・。
応援をしないを、カボチャコロッケをくだらないと言った
背ばかり見せて、表情を・・・顔を見せないを・・・
信じられなかったけど・・・けど、これが事実だと知った。
桃城が信じられないと、そんな言葉を言う前に・・・
英二を呼べと、に言われ・・・
桃城は、手をグッと握り・・・の後ろから皆の元へと戻っていった。

『ボール3個分・・・届かない』

桃城との会話など、全然知らない英二は
呼ばれてやってきた・・・。
「んにゃ〜何々??」
「お疲れだなぁ〜英二・・・」
この後、英二の表情に笑顔が消えるとは・・・。
英二本人ですら・・・思っていなかったことだった。