皆は知らない



校内ランキング戦
これで関東大会のレギュラーが決まる
誰もが必死になる日・・・が、たった1人だけ・・・
いつもは居るはずの人物が居なかった。
「竜崎先生?あの、君が居ないようですが・・・」
その様子に気づいたのか、取材に来ていた井上は竜崎先生に問う。
・・・青学のマネージャー。
この辺では、『野良犬』と呼ばれ・・・最強とも呼ばれている
ただ、テニス経験がないだけが問題だが・・・。
「あぁ、なら・・・家庭問題でね・・・休みだよ」
どこか遠くを見つめ、話す竜崎先生、が休むなんて・・・
井上は、竜崎先生の言葉を聞いて驚いた。
部員全員がこの言葉を聞いて、驚いたのだから無理もないだろう。
いつでも元気で、何も悩みのないような様子の
『家庭問題』ということで休んだ。
誰もが、あの氷帝と話をしていたの表情を思い出して・・・
練習に集中できないでいる。


「んしょっと・・・届いたか・・・」

−−
跡部様からの伝言をお伝え致します。
『当日、これを着てくること』だそうです
皆様、貴方様のお戻りをとても楽しみにしております
忙しいかもしれません。
ですが、どうか・・・皆様の期待を裏切ることのないよう
どうか・・・どうかお戻り下さいませ−−

「・・・はぁ〜、わかってるつーの・・・」
はゆっくりと、届いた段ボールを開けた。
中には『氷帝の制服』と『氷帝のポロシャツ、ジャージ』
「・・・このチェック模様の制服のズボンはどうにかしたいもんだよな〜」
ブツブツ言いながら、服をクローゼットにしまい始めた。

その頃・・・桃城は、レギュラーから下ろされ
部活に来なくなってから、3日経っていた。
桃城が戻れば、手塚からしてみて最高記録のグラウンド100周
練習は続いた・・・しかし・・・
どんなに時間が経っても、は未だに学校に顔を出すことはなかった。


「我々立海の全国3連覇に、死角はない!」
立海の方に、取材のために来ていた井上。
言われた言葉は『余裕』としか思えない言葉ばかりだった。
が・・・。
「問題は、氷帝学園のレギュラーに『WING』が入るかどうかだけだ」
「WING?」
「・・・アメリカにて10歳でプロに勝てるぐらい強かった奴の呼び名だ」



1番最初から、氷帝戦・・・皆の練習にも気合いが入る。
練習も終了し、誰もがすぐに帰ると思っていたのだが・・・
竜崎先生を呼び止め、レギュラー陣と桃城だけが残った。
「いつ・・・戻ってくるんですか?」
誰のことを言っているかは、分かりきっている。
青学のテニス部にとって、とても大切な人・・・のことだ。
「・・・・・・連絡があってね・・・」
その言葉に、誰もが耳を傾けた。

「・・・氷帝戦の当日・・・試合会場に直接来るそうだ」
骨のヒビも順調に回復したそうだし・・・心配はない。
なんて言う竜崎先生の目線は、皆を見てはいなかった。
そんなことは誰も気づかない・・・ただ、心配はないという言葉に
喜び、会場に来てくれるということで嬉しさがあったから

『竜崎先生・・・』
『・・・・・・そうか・・・皆には言っておくかい?
『いえ・・・当日に・・・』
『・・・・・・いつも通りで行きな?』
『そのつもりです、しんみりは俺には似合いませんし?』
『・・・校長には私から言っておくよ』
『あっはい、ありがとうございます・・・竜崎先生』
『当日は、死ぬ気で応援だよ!』
『はいっ』

皆は知らない・・・氷帝戦で何かが変わることを
知っているのは・・・氷帝学園の者と竜崎先生と本人だけ

そして・・・その日は、やってくるのである。