世界は広い
「ふーん……」 「で、何故キミはココにいるかな…」 採寸終了後、真っ先にティムキャンピーに飛びついた。 すりすり撫で撫でしていたら、コムイに腕を掴まれた。 今からティムちゃんに用があるからティムちゃんを放せだと なんて酷い、俺の恋路を邪魔するんだ……。 嘘泣きしたら、慌てて口を塞がれてそのまま拉致。 拉致をしたのはコムイだというのに、何故ここに居るなど 酷い事を言うものだと、は小さく溜息を吐いた。 その溜息を吐いている間も、ティムキャンピーは コムイの指示で、アレンの映像を出し続けていた。 どうやら、アレンがどういう人物で どういう過去持ちかの確認作業のようだ……。 既に、日が昇りかけているのだが、映像が終わる事がない。 はソファーをギシギシ揺らして 足をバタつかせながら、ティムキャンピーが出している映像を じーっと見続けている、徹夜確定だ。 「呪いか……それでも好きなんだよね、きっと」 ぼそりと呟いたの一言、コムイは聞いてこちらを向いたが また、映像の方を向き、の言葉に 声をかけるという反応はしなかった。 実の親に捨てられる、どんな気分なのだろうか……。 想像もできない苦しみ悲しみ、あの歳ならば絶望だろう。 それでも“生きる”という道を選べたのは きっとマナ・ウォーカーが居たからだろう……。 それがこんな形で失って、しかも愛しい人から 呪いまでプレゼントされるオマケ付き。 いくらオマケ付きのお菓子がお得感があるとしても これは大変イタダケない。 それでも好きなのだろう、だってアレンにとってマナは父親だ。 例え繋がりがなくてもアレンにとっては……。 大切な、何より大切な…… 教団の外の小さな森の中。 目隠ししながら葉と戯れてる奴が1人。 こっそり近づいたら、六幻の刃先がの頬に 触れるか触れないかの所で止まった。 「んだよ、危ないな……」 「ふん、気配を消して近づく奴が悪い」 うん、そうだよね、神田はそういう奴だった。 小さく笑いながら、邪魔にならないように近くの大きな木の 根っこあたりにちょこんと座った。 小さなそよ風が頬を撫で、木々から葉を落としていく。 それは地に辿り着く前に、目の前の目隠し野郎によって 真っ二つに斬れていった。 「、お前何をした……?」 葉が斬れていく中、風で葉がざわめく音と共に 神田の一言が聞こえてきた。 何をしたって?何もしてねーよ……。 どうせ、前回の任務で神田を庇った探索部隊が 何か言ったんだろう……。 この俺に関わりを持つなとか、どーとかこーとか……。 「別に何も?」 探索部隊は俺を嫌っている、それだけは確かだ。 この世界に来て、最初に会った時……。 俺のやらかした出来事を、今でも心の隅においているらしい。 まったく、しつこいったらありゃしない。 が小さく溜息吐いたのを見て 神田は六幻をしまった。 「さっさと行け」 「は?」 修行が終わったので、食堂に行くだろうと思って待っていたのに “行け”とはなんとも冷たい一言だ。 「どうせ、あの新人モヤシを連れて行こうとするだろ」 なんとも嫌そうな表情をし、モヤシと言葉を放つ。 「モヤシって……シャム猫くんか」 「シャム猫……?」 ほら、また嫌そうな表情。 モヤシと言われたら、誰だか分からないけれど その前に、新人と付くのはアレンぐらいしかいない。 「シャム猫っぽくない?懐いたらゴロゴロしそうだけど 懐くまでの躾が凄く大変そう」 クスクス笑うに、更に表情を歪めた神田は の頭をぽんぽんと叩いた。 「てめーは、躾を楽しむ飼い主か……」 その後、この一言を残しその場を去っていった。 神田の背中を見ながら、も立ち上がり ぽんぽんと服から埃を掃う。 「猫嫌い、犬っコロもワガママだな……」 小さく笑いながら、もその場を後にした。 「グラタンとポテトとドライカレーとマーボー豆腐と ビーフシチューとミートパイとカルパッチョと ナシゴレンとチキンにポテトサラダとスコーンと クッパにトムヤンクンとライス あとデザートにマンゴープリンとみたらし団子20本で」 聞いてて頭が痛くなる量を注文しているアレンを見て Bセットにエビフライが2つ付いてる!と喜んだは 世界は広いとしみじみ感じていた。 エビフライを2つ同時に口に頬張り、幸せを感じていたの耳に 大きな声が聞こえてきた。 「もういっぺん言ってみやがれああっ!!?」 「おい、やめろバズ!」 あぁ、また神田と探索部隊の揉め事かよ…… ぼーっとその現場を見ていたに、そっと声がかかる。 「あの……止めなくていいんですか?」 トレイに山ほど食事を積んだアレンだった。 よくもまぁ、それだけトレイに積みあがったものだと褒めてやりたい。 アレンは食事をの前の席に置き 立ち上がったまま座る様子がみられない。 「いつもの事だ、学習能力のない馬鹿はしょうがないんだよ」 エビフライをもぐもぐさせながら、言い放った言葉を聞き アレンは目を見開いて、コチラを見た。 「馬鹿って…神田ですか」 「あ?違う、違う、学習能力のないのは……」 探索部隊だよ 曇りのない笑顔でアレンに言葉を残した。 目の前で、今にも死にそうになっている探索部隊の人がいるのに は助ける様子は見られないし 笑顔で、学習能力がない馬鹿だと罵っている。 「どうして……貴方はッッ」 表情を歪めたアレンは、その場から移動し 揉め事のど真ん中へと足を進めて行った。 ガシッと神田の手首を掴んで、何やら話を始めた様子。 「どうしてって言われてもなぁ……」 苦笑いして、アレンと神田の様子を見る。 神田の性格上、あーなる事は絶対で……。 もう何年も、この教団に居るならば それを把握して、会話すればいいのに それをしない探索部隊の方が、学習能力がないのは当たり前だ。 最初は、神田に怒りを感じたものの もうどうにもならない性格だ。 向こうが変わらないなら、こっちが変わるしかないじゃないか あの表情からして、前の言葉が心に残っているんだろうな。 エクソシストが、必ずAKUMAを救済して 千年伯爵を倒すなんて……違うんだよって話だ。 「神田!アレン!10分でメシ食って司令室に来てくれ、任務だ」 ぼーっと見ていたら、遠くの方でリーバーの声が聞こえた。 ナニカ恐ろしい言葉を聞いた気がする。 “10分でメシ食って” アレンが席に戻ってきて、黙々と食べだした。 「アレン……食べれるのか?」 「ふぁい?」 「イヤ、食べろ…黙って食べてくれ」 大きく見て15食プラス20本。 更に大盛りときた。 無理だろうと思っているをよそに たった数分で、既に10食ほどがアレンの胃の中へ 世界は広い……は改めて感じていた。 |