俺の色


言葉を喋れない事が、凄く悔しい。
なんで喋れないんだろう。
姿は人間と一緒で、ただ耳と尻尾がついてるだけなのに
出てくる言葉は、人の言葉じゃないんだ。
ムカついてムカついてたまらなくて
エドワードは、近くの柱で爪をとぎ始めた。
がしかし、なにやら玄関の扉が開いた音が聞こえ……
「コラッ!」
怒鳴り声がエドワードの耳に入り込んできた。
……げげっ、主人というか無能が帰ってきたんだ。
いつもなら靴を脱いだら揃えて置くのに
脱ぎ捨てられた靴はぐちゃぐちゃだ。
ロイは、慌ててエドワードの傍に近寄り
「いい加減に爪切りぐらい覚えなさい」
そう言いながら、エドワードの目の前に立つ。

別にいいじゃんか、俺の勝手だ
エドワードは、『にゃぁ』と鳴いて
ロイが立つ方向とは逆のリビングの方向へと足を進めた。
「待ちなさいエドワード」
少し低い声でいきなり呼ばれ
エドワードはビクッとその場で止まった。

ば、ば、馬鹿野郎ッっ!!
急に名前を呼ぶんじゃねーよ……。
しかも腕掴んでくるし、やめろって!
くっ……くすぐってぇ……

『ぅうーー…』
「唸るな、暴れるな」
ロイはエドワードをぐっと引っ張り
リビングのソファーの上に座らせて、爪切りを始めだした。
コートも脱がないで、青い軍服のままで
ひたすら、エドワードの手足の爪に集中しているロイは
カッコイイのか、カッコ悪いのか……。

この青色がなかったら、俺は一体どうなっていたのだろうか

「ん?どうした…エド」
……ちょっと大人しくすると疑問に思うのかよ
ったく、暴れてほしいのか大人しくしてほしいのか
どっちなんだよ、ロイ。




しばらくして、爪切りが終わる。
ようやく自由になれたと、欠伸をしながらエドワードは
その場で丸まって寝始めた。
その様子を微笑みながら見ていたロイは、そっと
コートをエドワードにかけて、軍服から私服へと着替え始める。


何もない真っ暗闇の世界で
あの綺麗な青色が、俺の世界を変えたんだ。
「おやすみ、エドワード」
あぁ……何故、人間の言葉を喋る事ができないのだろう。
そしたら、小さな声でおやすみと言えるのに


喋る事ができたら……。

ありがとうって、大好きだって

俺の世界の色は青色だって
アンタの色だって伝えられるのに