白く染まれ
雪が降った。 真っ白な世界。 降り続けた雪は、ロイの帰る道を白く染めて 司令部から出れないという状況を作り出した。 しとしと、という静かな音と。 どさざっ、という屋根から雪が落ちる音。 エドワードに聞こえてくるのは、その2つしかない。 これだけ白いモノを見ていると 小さな笑いが出てきてしまう。 あの頃と同じ。 何も見ていなかった。 真っ白な、とても真っ白な。 泣くのを堪えて、白を染めるのも我慢して ただ、ただ…ロイを想っていたあの頃。 ぺたっと窓に手をついて、顔を近づけた。 吐く息によって、窓が曇り出す。 その曇り出した窓さえ、外の雪と同じ白に見えた。 今はどうだろう? 泣くのを堪えるという事をやめた。 アルフォンスの前なら我慢できても、ロイの前では無理だった。 誰に見向きもせず、ただ石とアルフォンスとロイだけ。 それだけを想って真っ白な想いを染めずに我慢してきたのに 一度、ロイの色に染まったら 白に戻らなくなってしまった。 あの頃の真っ白な、真っ白な……。 「今日は無理…かな」 雪は止みそうにない。 きっと、足止めをくらって 帰宅できないなら好都合とばかり 部下達に書類の山積みを見せられてる事だろう 想像するだけで笑みがこぼれた。 仕方ない。雪という自然には敵わない。 でもどうしてだろう…。 「寂しい…」 繋がっていなかったあの頃よりも 今の方が近いはずなのに 寂しさが増している。 どうしよう、どうしよう。 このもやもや感が凄く嫌だ。 真っ白だった頃は、ただ嫌だっただけなのに 繋がったまま、もう一度白に染まればいいのに 離れたくないから繋がったまま。 繋がったまま白に染まればいいのに そうしたら、寂しいなんて…思わなくなるのに |