一緒に住みますか
赤色とオレンジ色が混じった綺麗な色が、あたり一面を明るく映す。 目の前に広がるのは、熱くとても近づくことができない炎の海。 イーノックは言葉も出ず、ただ炎の前で立ち尽くしていた。 遠くからサイレンが聞こえる。 音は近づくけれど、目の前の炎が消える様子はなかった。 消そうと思い足を進めたが、その場にいた人たちに止められ 見ている事しかできないでいた。 つい先ほどまで居た自分の家が、黒い炭だけとなるには時間はかからなかった。 いつもなら、今日の夕飯は何にしようとか 明日も学校だなとか考えてる時間なのに今日はそれがない。 出火の原因は放火らしいけど、イーノックにとってそれはどうでもいいことで ただ、住む場所がなくなってしまったという現実だけが肩に重くのしかかっていた。 「どうしよう……」 近所の人たちは、イーノックの肩に手を置き慰めようとしてくれたり 災難だとざわめいていたが、イーノックは慰められるほど 落ち込んでもいなかったし、そこまで災難だとも思っていなかった。 明日からの生活をどうしようと、ただそれだけを考えていたのだ。 「イーノック、大丈夫か?」 ぼーっと、家だった場所を眺めていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。 顔を覗き込むように声を掛けてきた青年。 「あ、ルシフェル先輩……どうして……」 学校で知り合ったルシフェルが、イーノックの背を撫でながら声を掛けてきたのだ。 聞いた話では、ルシフェルはイーノックの家から少し遠い位置に住んでいて こんな場所に居るはずがないのに、何故だと疑問に思い問う。 「買い物帰り…家が燃えてると気になって来てみればこれだ」 慌てて走ってきたと、苦笑いしながら答える。 ルシフェルはポンポンとイーノックの頭を叩き お腹空いただろう?なんて買い物袋を目の前に差し出した。 「ルシフェル先輩、私の住む場所がなくなってしまった、どうしたら……」 イーノックは買い物袋を受け取りながら静かに言う。 近所の人たちの言葉は、全然耳を傾けもしなかったのに ルシフェルが来た途端、イーノックは自分の今思っていることを素直に吐き出した。 知り合って間もない関係だが、何か感じる事でもあるのだろうか 学校で初めて会った時から、イーノックはルシフェルに対してだけ 素直に何でも話していた。 「んー…とりあえず、来るか?」 「………いいんですか?」 ルシフェルの来るか?という言葉の意味は、きっとルシフェルの家に来るか?という意味で 話の流れからして、ルシフェルの家にただ行くだけではなく どうにか考え行動するまで、一緒に住んでもいいというお誘い。 |