愛と紙一重
「旦那……そこに居ると濡れるよ?」 縁側から声をかけると、幸村は濡れた状態で小さく笑った。 朝から天候は雨。 家の中で大人しくしているかと思えば 幸村の姿が見えなく、少し探せば庭に出ているのが見えた。 「なぁ、佐助……」 「何?…旦那」 何を言っても、家の中に入ろうとしないので 佐助は言うのを諦めて、縁側にちょこんと座り 庭に立ち、雨を受けている幸村をじーっと見ている事にした。 「雷は鳴るだろうか…?」 「旦那、そのセリフは嫌がらせ?」 本当に天候が悪くなってこなければ 雷が鳴るなどという自然現象は起きない。 佐助にとっては、雷が鳴ろうと鳴らまいと 無事ならば関係はないのだが……。 どうしても、雷という単語で思いつく人物が居る。 その人物が、どういう感情で幸村に接しているのか まだ曖昧だが、決して佐助にとって喜べるような間柄ではない。 「何を言っているんだ…佐助……」 「別に……」 幸村は、無意識に雷を気にしていたようで 何が嫌がらせなのか分かっていない。 一人で考え一人で嫉妬して勝手にやっているように思えて 佐助は幸村から視線をそらした。 アイツからしたら、幸村の忍びである佐助の位置は どう頑張っても付けない位置。 だが逆に言えば、佐助は ライバルであるアイツの位置には どう頑張っても付けない。 日常は、ずっと傍にいるからといっても 戦になれば、一緒にいる時間が長いのはアイツだ。 戦いの中で、どんな感情が生まれているのだろう…。 佐助は、幸村を敵にした事がないから その感情は分からない。 戦いは憎しみ?それとも興奮? どちらにしても、愛と紙一重な感情には違いない 「………旦那、さっさと部屋戻るよ」 冗談ではない。 雷は自然現象で悪天候の時に起きるモノだが そんな自然現象でさえ、アイツを連想させるモノ そんな連想させるようなモノがこの付近に落ちるなんて 「佐助…?」 「いいからっ」 佐助は幸村の腕を引っ張り、部屋に戻っていった。 のち……幸村に感情が伝わり 面倒臭い言い合いになった事は、言うまでもない。 |