紅と赤
普段、紅蓮の紅色を纏っているからって… 何も…血の赤色まで纏うことないだろ… そう思う佐助の想いは、言葉になる事なく 目の前に倒れている幸村に視線だけが向き ただただ、その場に立ち尽くしていた。 「……で、どうしたのだ?佐助…」 ボロボロの姿で、声が少しかすれた状態で 幸村は、佐助に視線を送った。 佐助は、幸村に視線をできるだけ合せるために 近づき、その場に座り込む。 「どうしたって……旦那こそ……」 その紅よりも濃い赤色はどうしたのさ…。 「うむ……動けぬ」 「何、ハッキリ言ってるの…馬鹿でしょ」 つんつんと傷口をわざと突付いてみると 小さな呻き声が、幸村の口から漏れた。 「な…にするっ」 「何って……旦那は世話がかかるなっと思って」 ちょっと日頃のストレス発散? 幸村からしてみれば、ストレス発散などで 傷口を触られるのは遠慮願いたい。 「あ…れ……佐助、痛みが……」 最初は触られた事で痛みが増していたが だんだんと痛みが消えていく……。 「なくなってるわけじゃないからね、ちょっと抑えてるだけだから」 温かい手に触れられ、傷の痛みは 薄ら和らいでいく。 「で、立てるの?」 応急処置が終わったのか、佐助は立ち上がり 幸村に小さい声で言葉をかける。 何故、小さい声かは……ここが、戦の後で まだ敵が残っているかもしれないという警戒のため。 例え敵がいようとも、主を死なせるようなマネは しないのが当たり前だが、用心にこしたことはない。 「大丈夫だ」 「……旦那の大丈夫は信用ならないね」 やれやれ…そう溜め息を吐きながら 佐助は幸村を持ち上げて、肩に担ぐ。 「さ、佐助っ」 「はいはい、黙る黙る」 さっとその場を去り、帰る場所へ…。 その間、紅と赤を纏った幸村は 佐助の肩の上で、下ろせと叫んでいたとかいないとか |