同じ色



一命は取り留めた。
「あー・・・生きてる・・・」
そう呟いてから、ちょっと悔しくなってきた。
どうして、兄弟なのに・・・練習量は同じのはずなのに
どうして・・・どうして・・・。
「どうして・・・お兄ちゃんに、敵わないんだろう・・・」
生きてることを実感しながら、ぎゅっと握る手を天井に向ける。

悔しかった・・・。


プロと活躍する兄

お金を稼いでくる兄

テニスが強い兄

何をしても、敵わない。

「逃げちゃおうか・・・」



次の日、は何故か病院から姿を消した。
「え・・・嘘・・・だ・・・」
ちょっと逃げ出す気分で出掛けただけなのに・・・
ちょっと悔しかったからって・・・





「何で、俺・・・死んでるの・・・」





記録には・・・は【事故死】ということになった。



こっそり病室を覗くと母と父と兄の声が聞こえてくる

『Murder!! Return my son!!!』
(人殺し!!私の息子を返して!!!)
『Mo...ther...?』
(おか・・・あ・・さん・・・?)

待って、お母さん・・・俺、死んでないよ?
お兄ちゃんは、人殺しなんかじゃないよ・・・
お兄ちゃんも、お母さんの子供だよ・・・

ねぇ、俺・・・死んでないってば・・・




『Can living expenses etc. be paid you? murder!!』
(貴様に、生活費など払えるか!人殺しめ!!)
『Fa...ther?』
(おと・・・・う・・・さ・・・ん?)

待って、お父さん・・・俺、死んでないよ?
お兄ちゃんは、人殺しなんかじゃないよ・・・
お金がなきゃ、育ててくれなきゃ・・・死んじゃうよ

ねぇ、俺・・・死んでないから・・・

やめて

やめて

やめて

お兄ちゃんは、テニスが大好きなのに・・・

やめて

やめて

やめて

ラケットを折っちゃったら・・・


『If it carries out for two weeks, return...
If it is here, prostitute deviation buys it.』
(2週間したら戻ってこい・・・ここなら、遊女狂いが買ってくれる)

疑いたいお父さんの言葉

『It he..lps.』
(ゃ・・ッ助け!)
『it is the bought body -- make it gentle!』
(買われた身だ、大人しくしろ!)

耳を塞いでも聞こえてくる兄の泣き声


『来るかい?』


兄が、この光に縋った時は・・・
本当に嬉しかったんだ・・・。

きっと、きっと笑える日がくるよ・・・お兄ちゃん・・・。

俺のこと、忘れていいから

もう、居なかったことにしていいから

どうせ、死んだ身だからさ・・・


空港・・・遠くに、遠くに見える小さな小さな兄の背。
向かって俺は大きく叫んだ・・・。

「お兄ちゃん・・・テニスを・・・やめないで?」



届いてるかな・・・俺の・・・言葉。







「・・・んー・・・眠い・・・・・」
ここ、氷帝学園の屋上・・・普段は鍵が掛かっていて
誰も入ることができない場所。
そこで、よく寝ている人物が居た。

名前は櫻井、氷帝学園中等部2年、誕生日8月13日の獅子座
身長173pのB型、性別男。
好きな食べ物は、どっかの誰かと一緒でカボチャコロッケ
が、どっかの誰かと違い、命をかけるほど好きというわけじゃなく
得意科目は昼寝と昼寝と昼寝・・・。
好きな色は青、趣味は昼寝と安眠。

この学園に入れたのはよかったものの・・・。
1番会いたくない人物が、1人だけ・・・この学園に居る。
「・・・まぁ、青学行っちゃってるし・・・会うことはないだろうけど」
綺麗に広がる青空を寝転がり見上げて、は小さく呟いた。

「届いたんだな・・・言葉・・・テニス、やめてないみたいだし・・・」

病院に居た頃と同じように、握り締めた手を青空に向けて伸ばした。


「兄さんの目と・・・同じ色」

クスッと笑い、手を下ろしては目を瞑った。