君がいる場所
テニスは、やっている時だけ・・・居場所ができる。 あぁ・・・そう・・・か・・なんて納得しながら 夢は覚め、ゆっくりと目を開けた。 「おはよう・・・・・・」 「清・・純・・・行きたい・・・」 「・・・起きて最初の言葉がそれ?キッついな〜・・・」 覚めて1番最初に見たのは千石の顔。 次に見えてきたのは、ベットの周りでぐっすり眠っている氷帝の皆。 多分、ずっとずっとつきっきりで傍に居てくれたんだろうと思わせる光景。 「で?どこに行きたいの・・・?」 「・・・・・・テニス・・・コート・・・」 「いいよ?行けば?・・・出て行けば、すぐにこいつら起こすから」 ニッコリと笑みを浮かべ、千石はに少し棘のある言葉を放つ。 病人の癖に、テニスコートに行きたいとか言い出して・・・ 冗談じゃないと思った千石は、行けば?と言葉を返した。 「何、連れてってくれないわけ?」 「病人さんを動かすわけにはいきません・・・自分で行くなら別だけど」 本気でテニスコートに行くようなら 千石は真面目に、寝ている氷帝メンバーを起こす気満々。 行かないでくれると有り難かったのだが、やはり野良犬は気まぐれというのか それとも、同じ場所にずっと居ない所為なのか・・・。 は動きにくい身体を自らの足で支え、別荘を後にした。 「・・・ったく、野良犬って相当バカだね〜・・・」 行きたい場所ができると、意地でも貫き通し行ってしまう癖に そこまで意地を貫き通して行った場所には、ずっと居ないという・・・。 千石は小さく溜め息を吐きながら、寝ている氷帝の皆を起こし始めた。 いつもは人が居るのに、今日は何故か誰も居ない。 自分が居た別荘がどの辺にあるのかが、たまたま周りの景色で分かったので 近くにあったテニスコートにゆっくりと足を運んだ。 丁度、氷帝と青学の間にある小さなテニスコート。 ゆっくりと足を進め、テニスコートを見つめていると・・・ ふと、小さい頃に居なくなった弟のセリフが頭を過ぎる。 『お兄ちゃん・・・テニスやめてない?』 やめてないっていってるだろ? 『お兄ちゃん・・・テニスやめないでね?』 やめないよ・・・ 『テニスってね、幸せ運んでくれるスポーツなんだよ』 ・・・おかげで、青学と氷帝っていう光を見つけたさ 『テニスってね、やってる時だけ・・・コート半面が自分の』 居場所になるんだろ? 『お兄ちゃん・・・テニスを・・・やめないで?』 お前のその言葉で、俺は救われたよ・・・。 どこかで生きているはずの弟のことを思いながら・・・。 ゆっくりとテニスコートの中心で目を瞑った。 「見つけたよッ」 「英・・二・・・なんで・・・・・ここ・・・」 瞑ってしばらく経ってから・・・急に声が聞こえてきた。 声のする方を向けば、今は部活の時間のはずで、ここに居るはずがない 英二が目の前に居た。 後ろの方から、青学の皆が走ってやって来る・・・。 居場所がないと、母に思い知らされてから・・・会いたくなかった相手。 それが走ってやって来るのだ・・・慌てて逃げようとして反対方向を向くと 「もう、病人って分かってる?ちゃん・・・」 別荘で寝ていたはずの氷帝の皆が、自分の目の前に居た。 逃げ場がない。 「俺に、居場所なんてないんだ・・・放っておけよ」 野良犬だから放っておけよ 独りにさせてくれ もう、誰も近づかないでくれ 俺は、生きてちゃいけない人間なんだ 近づく皆に、の叫びが伝わる・・・。 けれど、誰もに近づくことをやめなくて・・・。 「「「野良犬だから独りって・・・誰が決めたんだ?」」」 青学の皆が静かに言う。 「「「野良犬だって仲間がいる・・・」」」 氷帝の皆がその言葉に付け足す。 「は、でしょ?」 「生きてちゃいけない人間なんて、この世に存在しないから」 言葉を聞いて、の頬に一滴・・・雫が流れ落ちた。 「「「の居場所は、ここにあるだろ!」」」 「ッ・・・」 差し出された多くの手が、本当に光に見えたんだ。 近くで微笑むみんな・・・。 少し離れた所で、様子を見て微笑んでる千石・・・。 俺は、傷付いた身体の痛みも忘れて両膝をコートにつき・・・ その場に泣き崩れた。 野良犬は、飼い主がいない、そのへんをうろつく犬だけど しかも、闇の中ばかり彷徨っていたけれど・・・ 見つけたんだ、小さいけれどいっぱいある光。 リョーマ、国光、秀一郎、周助、英二、貞治、隆、武、薫 景吾、侑士、岳人、亮、慈郎、長太郎、若 理央、白亜 清純 本当に・・・ ありがとう 君がいる場所 |